IDEA magazine403
2023/9/10
世界の「声」をつくる 書体デザイナー大曲都市の仕事


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【特集】
世界の「声」をつくる
書体デザイナー大曲都市の仕事

企画・構成:アイデア編集部
編集協力:長田年伸,藤井亮一,柴田光
デザイン:LABORATORIES(加藤賢策,守谷めぐみ)
翻訳:フレーズクレーズ,ブラザトン・ダンカン

大曲都市(おおまがり•とし)は,1984年福岡県春日市生まれの書体デザイナー。Tabular Type Foundry、Omega Type Foundry主宰。ゲームと映画,そしてラーメンを愛し,近頃は書体づくりとコーヒー豆の焙煎に情熱を注ぎながら,英国ロンドンを拠点に活動を続けている。

大曲は武蔵野美術大学,英国レディング大学を卒業後,世界的なタイプファウンドリMonotypeに入社。約8年にわたり数々の欧文書体の復刻•改刻に関わる一方で,モンゴル文字やチベット文字,キリル文字,ギリシア文字など,ノンラテン文字の書体デザインにも精力的に取り組んできた。GoogleのNoto Fontsプロジェクトへ参画するなど,多言語書体制作の第一人者として世界的に認められる書体デザイナーだ。

本特集では,これまでの大曲の制作書体を一挙に収録。多言語の書体デザインとカリグラフィの実践,欧文書体の復刻・改刻を通じた歴史へのアプローチ,カスタム書体の制作事例と幅広いコラボレーション,そして,さまざまな書字体系に対応するための独自のアプリケーション,デジタルデバイス開発など,従来の書体デザイナーの職能を超え,領域横断的に活動する大曲の仕事を紹介する。

Chapter 1 世界の文字と書体デザイン
・Noto Fonts
・Platia
・Klaket

【座談会】
世界の言葉と文字:「 文字」が背負う歴史とアイデンティティ
荒川慎太郎,澤田英夫,大曲都市

Chapter 2 欧文書体のデザイン
・Metro Nova,Albertus Nova,Wolpe Pegasus,Wolpe Tempest,Wolpe Fanfare,Neue Plak / Neue Plak Text,Forte Forward,Plantin,Quentin Blake,Premier League,Inkulinati,Tokyo Dome City

【寄稿】
大曲都市とレディング大学
文=ジェリー・レオニダス

【寄稿】
Typotheque:ラテン書体から世界の書体へ
文=セバスチャン・モーリゲム

【寄稿】
書体プロジェクト Kigelia
アフリカの主要な書記体系を支える,文字体系とスタイルを複数含む業界初のフォントファミリー開発の裏側
文=マーク・ジャムラ&ニール・パテル

Chapter 3 Type & Play
・BubbleKern
・Glyphsコントローラ

Chapter 4 等幅フォント
・アーケードゲーム•タイポグラフィ
・Tabular Type Foundry

【座談会】
来るべき書体を求めて:グローバリズムのなかで書体デザインを続けていくこと
鈴木功,土井遼太,大曲都市

別冊付録 THE NEW CENTAUR SPECIMEN
構成・デザイン:白井敬尚,三橋光太郎(白井敬尚形成事務所)


つづく、ひろがる、華ひらく
包装紙のリファインと、伝統を次世代へつなぐ教育プログラム

百貨店・三越の包装紙「華ひらく」は1950年に制作され,70年を超えていまなお愛される。その制作には,画家の猪熊弦一郎や,三越宣伝部に当時在籍していた漫画家のやなせたかしが携わり,華やかで力強くも優しいデザインは三越のシンボルのひとつになっている。
 2016年にグラフィックデザイナー岡本健の手によって,オリジナルのかたちと色を模索するリファインが行われた。三越の創業350周年でもある2023年,子どもたちが「包む」ことを学び,包装紙をつくる教育プログラムへと展開し,その伝統は未来へ向けて紡がれている。華ひらくをめぐる三越と岡本健デザイン事務所の協働の姿を追った。

協力:株式会社三越伊勢丹,岡本健デザイン事務所,丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
取材:アイデア編集部
構成:藤井亮一
デザイン:trimdesign

【連載】デザイン蒐集家たちの部屋
第3回:デザインアーカイヴ「Design Reviewed」part 3
ウィム•クロウエルとアムステルダム市立美術館

文:マット・ラモント
デザイン:山田和寛(nipponia)
翻訳:山本真実

永井一正
連綿と続く雑誌広告とグラフィズムのあゆみ

2023年に94歳を迎えた永井一正が,およそ半世紀にわたって手がけている竹尾の雑誌広告。『グラフィックデザイン』(講談社)にて掲載が始まり,『アイデア』に引き継がれ今も続く。
 デザインアーカイヴ「竹尾アーカイヴズ」によって,その広告作品の作品集の刊行と展覧会「NAGAI & TAKEO―永井一正デザインによる竹尾広告」が企画され,同時にウェブサイトでもデジタルアーカイヴが公開された。全作品およそ130点が一堂に会した展示では,モチーフや表現方法が時代によって移り変わっていく永井の創作の変遷が見える。その軌跡を臼田捷治がたどり,永井による広告におけるグラフィック表現をひもとく。

文:臼田捷治
協力:株式会社竹尾,竹尾アーカイヴズ
写真:古屋和臣
デザイン:長田年伸


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