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寄稿:佐藤良明、菊地敦己、田口敦子
本特集は2016年5月に逝去したグラフィックデザイナー,佐藤晃一の代表的なグラフィック作品を独自の編集でまとめたものである。佐藤は視覚的しじまをまとった箱の連作に代表されるポエジーに溢れたグラフィックを用いた作品で知られ,世界的に高く評価されている。また多摩美術大学において教育活動にも注力し,その薫陶を受けたデザイナーは数多い。
1970年代の若者文化の盛り上がりのなか,佐藤は日本的なポップアートの可能性を探ることから出発し、独自のグラフィックの世界を築き上げていいった。佐藤がグラフィックを通じて探求していたものはなにか、グラフィックデザインのグローバル化と均質化がすすむ現在それはどのように再検証されうるのか。
本特集では初期の実験的な作品群にはじまり,箱のモチーフやグラデーションの表現によって独自の境地を開拓した中期,俳句とグラフィックデザインを融合させた「俳グラ」など晩年に至るまでの代表作を約100点にわたり掲載。そのほか,佐藤が80年代に雑誌「ミュージック・マガジン」に連載したエッセイ『佐藤晃一のYES EYE SEE』抜粋や作品解説など,佐藤自身の言葉を混じえて紹介する。
冷奴からメザシまで インタビュー=若尾真一郎
寄稿
佐藤晃一の精神と自然(文=佐藤良明)
佐藤晃一さんが亡くなられた。重たい空洞を感ぜずにはいられない。(文=菊地敦己)
多摩美術大学での佐藤先生(文=田口敦子)
企画・構成=大西隆介(direction Q)+アイデア編集部
デザイン=大西隆介(direction Q)
協力=佐藤晃一デザイン室
文・デザイン=エイドリアン・ショーネシー
訳=山本貴光
日本語組版=白井敬尚形成事務所
オランダを代表するグラフィックデザイナーのひとり,ジュリアン・シュロファー(1926-1990年)。彼は書体デザインから書籍,雑誌,ポスターのデザインなど幅広く活動したデザイナーであるものの,これまでその活躍がオランダ国外で語られる機会は少なかった。本稿では,2013年秋に刊行された400ページにわたるシュロファーの作品集の一部を紹介し,「デザインの博識家」として知られるシュロファーの姿や,彼のつくりあげたオランダにおけるグラフィック・デザインの神髄(クイントエッセンス)を紐解いていく。
第8回 2000年代パート2 ビトウィーン・ジン・アンド・ブログ
デザイン=杉山峻輔
21世紀の最初の10年,情報技術の革新は人々の行動と日常の風景を少しずつ確実に変えていった。携帯電話の普及,パソコンの低価格化,インターネットの大容量・高速通信および常時接続。「いま,ここ」を超えて広がるメディア空間に身を晒す体験は,もはや一部の限られた人だけのものではなくなり,誰もがネットにどう関与するのか,しないのかを問われる状況が生まれた。選択肢が多様化する時代におけるZINEの有り様を紹介する。
現代台湾を代表するブックデザイナー王志弘(ワン・ジーホン)は,まだブックデザインへの関心が薄かった1990年代の台湾においてタイポグラフィの領域に踏み込み,2000年の個人事務所設立以降,タイポグラフィの現代的可能性を追求することで,古典性と現代性が同居する斬新なデザインの世界を構築している。16年にわたる活動の軌跡をまとめた初の作品集を豊富なビジュアルとともに紹介する。
今年,開催50周年という節目を迎えたワルシャワ国際ポスタービエンナーレ。今回の展示では,例年行われる公募形式ではなく,ポスターの現代性を根本から問い直す企画展が開催された。本展の成果と,そこで巻き起こった議論について,現地在住のデザイナーがレポートする。
新書体
ブック
[Music]the idea of music [020]
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お詫びと訂正
アイデア375号にて以下の記載に誤りがございました。謹んでお詫び申し上げます。
P.1 (目次)中央
誤)若生真一郎 正)若尾真一郎
P.4 (はじめに)文末
誤)松村丈彦 正)村松丈彦