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特集:羽良多平吉 イエス・アイ・スィー
特別寄稿:松岡正剛,高山宏,井上陽水,石川セリ,細野晴臣,鋤田正義,宇野亞喜良,吉増剛造,いしかわじゅん,久米泰弘,片岡朗,中島英樹,松田行正,鈴木成一,立花文穂,伊勢克也,有山達也,祖父江慎,戸田ツトム,府川充男ほか
「ウレシイ編輯,タノシイ設計。」をキーワードに,書籍や雑誌を中心に活動するエディトリアルデ ザイナー,羽良多平吉。その魔術的ともいえるイメージ編集やタイポグラフィ感覚,補色を活かした彩色術による唯一無二のデザインを展開し,多くのファンを 魅了してきた。本特集では羽良多の40年以上にわたる活動をジャンルごとに紹介。本人および関係者のコメントなども提示することで,その活動の全体像や時 代背景,羽良多自身の人物像を浮かび上がらせる。
羽良多は書物のデザインを「装幀」や「ブックデザイン」ではなく,「いれもの」であると同時に「すがた」も意味する「容」を用いて「書容設計」と呼ぶ。そして素材やツールの存在論をとらえる「点國」「フォンタジー」といった造語を照準器として用いることで,書物のかたちと理(ことわり)をよりそわせる。
70代後半から『HEAVEN』『遊』や初期YMOのヴィジュアルなどで展開したニューウェーブ感覚あふれるグラフィック。80年代以降の書容設計における多彩な組版。90年代中頃以降の実験的なデジタルグラフィック。そして近年におけるモダニズムや「白」「マージナル・ゾーン」の再検討。
本特集では羽良多のこのような40年以上にわたる活動の全体像を紹介する。と同時に,本人および関係者のコメントを通じて,羽良多がヴィジュアルに媒介してきた70年代以降の諸文化コンテクストを浮かび上がらせる。
羽良多平吉という存在の「いとなみ」と「たしなみ」に迫る総特集!!
スタディ・イン・ホワイト 2011
構成・デザイン:羽良多平吉
I 書容設計
1 稲垣足穂の書物
2 点國フォンタジィ
3 ウレシイ編輯,タノシイ設計
*『Green Bench』に対する著者コメント
『Green Bench』は,真夏のテニスコートで,母親が久々に再会した娘と息子のラリーを眺めているシーンではじまる戯曲です。羽良多さんの装丁は,母親の狂気を 抽出した色彩のバーコードでした。黄色,ピンク,青,紫,緑――,色を速く見させる加速感はあるのに,痛烈に静止している。そして,内容を見事に内包して いるけれど,内容の説明は一切していない――,17年を経た今見ても,目を見張るしかない装丁です。
柳美里(作家)
4 マンガ・マニエラ
II グラフィック・ニューウェイブ
1 演劇のイマージュ
2 音と像
ウェブ版特別コンテンツとして,2003年に行われた展示「点国ドライヴ」の会場曲を含めた,音楽家Aricoによる音楽ファイルをダウンロードできます。アイデア346号と合わせてお聴き下さい。(下記のリンク先より「ファイル」→「別名保存」でmp3データをダウンロード可能)
Tengocu・drive (Arico 「Tengocu drive」より、全6曲中1曲目)
Tokiakari Improvisation Ⅱ (Arico 「ときあかり」 2005より、 全7曲中7曲目)
III 虹色科學の時代
IV hQノート
1 hQ序説
2 hQ氏のこと
3 hQアーカイブ
4 インタビュー