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特集:ハーブ・ルバリンのタイポグラフィックス/アラン・フレッチャー:グラフィックの仕事(と遊び)の半世紀 文:エミリー・キング/「サンセリフが最 終段階というわけではない」国際的デザイナー・アーティスト・著述家カール・ゲルストナーの新しい著作と新しいタイプフェイス 文・デザイン:ヘルムー ト・シュミット/画描きの営み-牧野伊三夫の仕事 取材・文:アイデア編集部/同時代デザインの文化誌 第1回こじままさき 文・アイデア編集部,図版解 説・ばるぼら/立花文穂インタビュー「球体について」寄稿:有山達也,伊藤ガビン,白井敬尚,羽良多平吉/タイポス-「タイポス」から「タイポスオールマ イティ」,「漢字タイポス」へ 文・構成 向井裕一/「書字と描画の近代史」展 構成:アレックス・リッチ,ユルグ・レニ/わたしのファミカセ展 2008/特別収録:「フェイス 立花文穂」
特集:ハーブ・ルバリンのタイポグラフィックス
1950年代半ばから60年代後半かけてアメリカ東海岸を中心に花開いた,自由闊達な文字中心のデザイン,いわゆる「アメリカン・タイポグラフィ」を代表するデザイナーとして知られるハーブ・ルバリン(1918-1981)。とりわけ奇才の編集者ラルフ・ギンズバーグとの共同作業による雑誌「エロス」「ファクト」「ア ヴァンギャルド」で展開したルバリンのアートディレクションは,20世紀アメリカのエディトリアルデザインの金字塔である。また,彼は60〜70年代の時 代精神を代表する画期的な書体Avant Gardeの制作や,文字や視覚文化全般を取り上げるタブロイド判の広報誌「U&lc」の編集・デザインも手がけ,さらにITC社を共同設立し書 体の流通・販売の基盤を構築するなど,文字とタイポグラフィの世界に多大なる貢献をした人物でもある。本特集では,エディトリアル,ポスター,ロゴタイ プ,書体デザインに至るまで,多方面で才能を発揮したハーブ・ルバリンのタイポグラフィックスの魅力に迫る。
アラン・フレッチャー:グラフィックの仕事(と遊び)の半世紀
文:エミリー・キングアラン・フレッチャーは,イギリスのグラフィックデザイン界の成長を,戦後の胎動期から今日の反映へと至るまで,中心となり支えてき た父親のような存在だ。明晰な論理やアイデアに基づくデザインのなかに,ウィットに溢れる個人的な視点や,手書き文字の人間味を盛り込むことを忘れなかっ たフレッチャー。彼にとって,仕事と遊びとは,その生涯を通して分ちがたく切り結ばれたものであった。2006年11月にイギリスのデザインミュージアム にて企画された回顧展のキュレーターを務めたデザイン史家エミリー・キングの解説により,アラン・フレッチャーの50年間の軌跡を包括的に振り返る。
「サンセリフが最終段階というわけではない」
国際的デザイナー・アーティスト・著述家カール・ゲルストナーの新しい著作と新しいタイプフェイス
文・デザイン:ヘルムート・シュミット
ヘルベティカやユニバースをはじめとする,20世紀に発展を遂げたサンセリフ体。サンセリフ体は書体の歴史的展開の最終形体なのか? サンセリフ体を主要 要素とするスイス・タイポグラフィの代表的な担い手の一人として1950年代から活躍してきたカール・ゲルストナーの書体観の変遷を,バーゼル流タイポグ ラフィ精神の継承者ヘルムート・シュミットが分析する。
画描きの営み-牧野伊三夫の仕事
画家としての画業をはじめ,「雲のうえ」「暮らしの手帖」「WHISKEY VOICE」をはじめとする雑誌や書籍の装画,装幀などで注目される画家・牧野伊三夫の仕事をロング・インタビューとともに大々的に紹介。
連載第1回 同時代デザインの文化誌
こじままさき,文・アイデア編集部,図版解説・ばるぼら
世に氾濫するデザイン書,雑誌がカバーしない,多様な現実と文化に結びついたデザインの実践を紹介する新シリーズ。第1回目は,90年代初頭に発行された 伝説的ミニコミ「BD」の編集発行人にして,漫画,サブカルチャーをはじめとする書籍,エディトリアルの分野で活躍するデザイナー,こじままさき氏の鋭い 批評精神に裏打ちされた活動と思考の軌跡を取り上げる。
立花文穂インタビュー「球体について」
寄稿:有山達也,伊藤ガビン,白井敬尚,羽良多平吉
アーティスト立花文穂が責任編集・デザインによる季刊メディア『球体』を立ち上げた。執筆陣に,石田千,伊勢克也、立花英々、テニスコートといったメンバーを迎え,既存の雑誌の価値観に囚われないこの雑誌のつくりかたを立花文穂のコメントとともに詳解する。
タイポス
「タイポス」から「タイポスオールマイティ」,「漢字タイポス」へ
文・構成 向井裕一
従来の明朝体やゴシック体のどちらでもない,新しいコンセプトの書体として開発された新書体「タイポス」が最初にリリースされてから40年近く。これまで 仮名だけの文字セットしか持たなかった「タイポス」に漢字が加わった「漢字タイポス」が発売された。一時代を築いたこのユニークな書体の開発史を改めてふ りかえるとともに,その現代的な可能性を探る。
「書字と描画の近代史」展
構成:アレックス・リッチ,ユルグ・レニ今年の7月より英国ロンドンのICAにて開催予定の展覧会「書字と描画の近代史」展に関連しte,グラフィックデ ザイナーのアレックス・リッチとヨルグ・レニが用意した一連のヴィジュアルだ。文字認識技術,合成音声装置,知覚認識,簡略記号,パンチカードなどの実際 の装置や出力見本など,20世紀以降に開発された書字,描画をめぐる機械やシステムを提示することで,書字(writing)と描くこと (drawing)における近代のメカニズムを探求する。
わたしのファミカセ展 2008
吉祥寺のセレクトショップMETEORで開催され話題を呼んだ,様々な分野で活躍する53名の参加者がファミコンカセットのラベルをデザインする展覧会「わたしのファミカセ展 2008」。その作品と解説を一挙公開。
特別収録:「フェイス 立花文穂」
羽良多平吉編集・デザイン『TENGOCU-点國-Pixelzone』(未刊行,2005)より抜粋
文・竹島玲子,デザイン:羽良多平吉
羽良多平吉編集・デザインによる『TENGOCU-点國-Pixelzone』(未刊行)での立花文穂ページを,今号の立花文穂記事に連動して特別掲載。「点國」と「球体」。ふたつの雑誌が時空を越えて「アイデア」誌上でつながる。