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長年にわたりブックデザイナーとして活動し,デザイン,写真,映像についての批評でも知られる著者が,2005年から2016年までの12年間にわたって日常や社会の諸相に巡らせた思索の軌跡。『at』『atプラス』『市民の意見』『十勝毎日新聞』をはじめとする媒体に寄稿した連載エッセイと読書アンケートを中心に収録する。
情報や経済のグローバル化を背景に,人々の価値観や公共性の枠組みが大きく変容していった時期に書かれたこれらのエッセイは,出版にかかわるデザイナーならではの同時代批評であり,デザインについて語らない,つまりビジネスや実践主導の言説空間から離れて足下から立ち上げたデザイン論ともいえる。
「カラーのプレゼンをチョイスするだけの編集者は,編集者なのではなく消費者なのだと思う。(中略) ひとは消費者であってはいけないと思う。むろん,ひとは消費者でなければ生きていけない。消費者でありながら消費者であることをヤンワリと拒む生き方を探したい。」(本書所収「かしこい消費者」より)
四六判並製,374頁
編集:郡淳一郎
ブックデザイン:長田年伸
装画:刘曾林(succulency)
校正:前田年昭
★収録原稿の一部を弊社コラムサイト「よみものどっとこむ」で公開中。
以下のメディアで紹介されました。
読売新聞 2017年8月31日
生井英考「デザイン季評」
週刊読書人 2017年9月11日
深川 雅文(キュレーター/クリティック)「ラディカルな批評の書」
(以下URLより読むことができます)
http://dokushojin.com/article.html?i=2053
★メディア・書店関係者向け素材ダウンロードはこちら 書影込みプレスリリース一式 書店用POP(ハガキ横サイズ)
鈴木一誌(すずき・ひとし)
ブックデザイナー。1950年東京都生まれ。杉浦康平氏のアシスタントを12年間つとめ,1985年に独立。映画や写真の批評も手がけつつ,デザイン批評誌『d/SIGN』を戸田ツトムとともに責任編集(2001〜2011年)。神戸芸術工科大学客員教授。著書に『画面の誕生』(2002年)『ページと力』(2002年)『重力のデザイン』(2007年)『「三里塚の夏」を観る』(2012年)。共編著書に『知恵蔵裁判全記録』(2001年)『映画の呼吸 澤井信一郎の監督作法』(2006年)『全貌フレデリック・ワイズマン』(2011年),『1969 新宿西口地下広場』(2014年)『デザインの種』(2015年)『絶対平面都市』(2016年)など。
2005年
タイポグラフィの薄さ/点に留どまる/読書日録/2005年上半期読書アンケート/アンケートわたしを/がつくった雑誌/沈黙の1拍/DTP時代の「なにを」と「どう」/暗がりの消滅/2005年読書アンケート
2006年
デザインを漂流させる/ゲームの規則/身振りと複合動詞/「整理」の美学/現場は複製できるか/2006年下半期読書アンケート/2006年読書アンケート
2007年
年間100アイテム/「必要ナシ」/2007年上半期読書アンケート/映画館でフィルムが切れて……/新訳の旧態/〈昭和〉とともにある/日本人の顔/出現と消失/2007年読書アンケート
2008年
手書きのメッセージ/装われた下層化/歩くわたし/紙という鏡/寛容のデザイン/『靖国』との付き合い/考えるための道具/デザインの根/かしこい消費者/〈当たり前〉の深さ/身軽であること/2008年読書アンケート
2009年
回り回って/ランキングなる思考法/言葉の国産化/わかってもらうこと/階層のインターフェイス/自由の行方/バランスのデザイン/視点の行方/煮え切らないわたし/2009年読書アンケート
2010年
鏡餅完売/アンケート/白い街/大阪はおもしろい/東アジアと新聞デザイン/脆さの強さ/書店に行こう/空気のようなデザイン/〈電子書籍問題〉/母の遺詠,共作者だった父/紙は実在しない?/ページネーション・マニュアル/言葉ということば/2010年読書アンケート
2011年
年賀にマスクを/それがないことが想像できない品物/人工と自然/面から線へのデザイン/キャンセルという観察点/缶詰の罪と罰/わかりやすさのデザイン/映画を観ていたころ/重さについて/原稿用紙の変転/2011年読書アンケート
2012年
ボローニャにて/アイディアを生みだす道具/切れ切れの時間/充電器のデザイン/消せる筆記具/サボれない時代/パソコンの終焉/「よっこらしょ」の効用/大正という時代/低い視線/2012年読書アンケート
2013年
映像を疑うレッスン/マニュアルの帰趨/「わかっちゃいないのである」/空間と場所/問題は連続する/2013年上半期読書アンケート/動的な来歴/時間とデザイン/夜店が消えていく/後悔しない生きかた/パンク・シンドローム/「をった」/背景は歴史を刻む/2013年下半期読書アンケート/2013私の3冊/2013年読書アンケート
2014年
学び直しとデザイン立国/透明な要人警護/角丸がデザインを語る/天草のキリシタン版/森山大道の「/」/予測された未来/制御可能とデザイン/女優の顔のシワ/消費という回路/ふたりの精神療法家/世界に触れる/2014年上半期読書アンケート/仕事と出会う/仕切りの感覚/平和憲法/危険の使い途/昼夜の境目/ストーリーの背後/コンビニという風景/2014年下半期読書アンケート/2014年読書アンケート
2015年
アーカイブ立国/対馬から見る/歴史の消息/使われずに終わるもの/中国でデザインの授業をする/中国とデザイン/空洞の誕生/焼け跡の重さ/「ないこと」はある/2015年上半期読書アンケート/著者名を欠いた本/文脈が消えていく/写真としての世界/理にもとづいての決定を/死者は供養されたか/〈ふつう〉の貴重さ/見ず知らず/成熟と破壊/2015年下半期読書アンケート/2015年読書アンケート
2016年
ひとの居場所/北海道で書籍製作/公共性の行方/ともに生きてきた……/専門家に任せられるのか/〈遠さ〉に包囲される/30センチの物差/調査報道に学ぶ/2016年上半期読書アンケート/30歳/「トースター・プロジェクト」/夜中の締切/お好み焼きの店で/月桂樹の葉/2016年下半期読書アンケート/2016年読書アンケート
編集後記
『ブックデザイナー鈴木一誌の生活と意見』に下記の誤りがありました。お詫びして訂正いたします。(佐久間聖司さんと高橋創一さんからご指摘いただきました。ありがとうございました)
『ブックデザイナー鈴木一誌の生活と意見』正誤表PDF(2017-12-06)
ページ | 段 | 行 | 誤 | 正 |
---|---|---|---|---|
65 | 下 | 後ろから4行目 | フィルムグラフィ | フィルモグラフィ |
66 | 上 | 後ろから2行目 | 興業側 | 興行側 |
81 | 上 | 最終行 | (市民の意見』 | (『市民の意見』 |
90 | 下 | 最終行 | (市民の意見』 | (『市民の意見』 |
125 | 上 | 4行目 | 楽しさなっている | 楽しさになっている |
136 | 上 | 6行目 | 叔父もつ | 叔父にもつ |
150 | 下 | 後ろから8行目 | アイパッド | iPad |
164 | 下 | 6行目 | 以降を | 移行を |
268 | 下 | 後ろから4行目 | 製品よって | 製品によって |
273 | 上 | 1行目 | エネルーギー | エネルギー |
358 | 上 | 6行目 | 面白か | 面白いか |
362 | 上 | 9行目 | 地表が | 地表を |
370 | 下 | 後ろから5行目 | 地表が | 地表を |
カバー表4 | 11行目 | ブックッデザイン | ブックデザイン |