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2015年6月10日発売
特集:思想とデザイン
思想を人に伝えるためには,なんらかの素材や形に定着させなければならない。したがって思想は無形のものとしては存在しえず,インターフェイスとしての書物とそのデザインに大きく規定されてきた。またメディアの広がりとともに,思想は活字ではなく音や図像も含めた空間のなかに展開されるようになって きた。時代と共に移り変わってきた思想とデザインの関係に,気鋭の若手研究者,評論家とともに切り込む特集。
企画とアートディレクションは,現在,美術・建築・人文系をはじめとする幅広い領域で活躍するデザイナー・加藤賢策(ラボラトリーズ)が担当。
マクルーハンのメディアデザイン
文|門林岳史
1960-|拡張するメディアと思想
視覚的ペーパーバックの実験|ポケットの中のカウンターカルチャー|絵詞エディトリアル─横尾・粟津の本|杉浦康平の文体─①,杉浦康平の文体─②
実験的ペーパーバックを再解釈する
─インヴェントリー・ブックスの挑戦
インタビュー|アダム・マイケル(project projects)
1980-|横断と解体
GS/たのしい知識|ニューアカデミズム|NYの『GS』としての『ZONE』|ポストモダンとテキスト実験
思想するデザイナー
インタビュー|戸田ツトム
1990-2000年代における批評/建築/情報技術のトライアングル
文|南後由和
『GS』漂流─1982-1988
インタビュー|荻原富雄
2000-|ネットワークの彼岸
ゼロ年代批評同人誌マトリクス(文|入江哲朗+峰尾俊彦)|インターネット以降のリアリティと新しい書き手|ゴシック体の風景
ゼロ年代の思想とデザイン
文|入江哲朗
批評空間のデザインと実践
インタビュー|東浩紀
寄稿
紙と思想の接触面─日本思想誌クロニクル 文|山本貴光
批評/メディア/マテリアル試論 193510 文|大澤聡
*
『 Atlas of the Functional City』をめぐって─地図の現代的な役割とは?
座談会 蓑原敬×中島直人×藤村龍至×刈谷悠三
《連載1》インフォグラフィックスの潮流 第5回
《連載2》イエローページ 第5回
《連載3》ばるぼら×野中モモ
日本のZINEについて知ってることすべて 第3回
エルメスの’発想の実験室’
「p etit h」における服部一成の空間デザイン
インタビュー|服部一成
別冊付録 『球体』6号
ウェブ通販サイト
誠文堂新光社,7net,楽天ブックス,ブックサービス(取寄せ),紀伊國屋書店,e-hon
特集:思想とデザイン
マクルーハンのメディアデザイン
1960年代,アメリカで一世を風靡したメディア論者=マーシャル・マクルーハン。その活躍の背景には,常に広告業界とデザインによる後押しがあった。彼の著作におけるデザインの機能を考える。
☝1960-|拡張するメディアと思想
アメリカでは,ビジュアルに特化した実験的ペーパーバックが花開き,日本では新たな潮流を受け止めた若手編集者たちによって多様な雑誌メディアが展開された60年代。カウンターカルチャーが生んだブックデザインを紹介する。
☝1980-|横断と解体
80年代を席巻した「ニューアカデミズム」。それをかたちづくった雑誌・書籍を中心に,インターネット時代到来までの言論空間のあり方を振り返る。
☝2000-|ネットワークの彼岸
ネット×オタク×現代思想の交差によってうまれた,ゼロ年代の言論空間。書籍というインターフェイスの存在意義が問われるなかで,デザインが担うべき役割とは何か。
☝寄稿
紙と思想の接触面─日本思想誌クロニクル 文|山本貴光
批評/メディア/マテリアル試論 193510 文|大澤聡
☝『 Atlas of the Functional City』をめぐって─地図の現代的な役割とは?
座談会 蓑原敬×中島直人×藤村龍至×刈谷悠三
ル・コルビュジエをはじめとする近代建築家たちが集い,1920年代から1950年までに欧州各国で11回にわたって開催されたCIAM(Congrès International d’Architecture Moderne,近代建築国際会議)。 その第4回会議(1933)のテーマ「機能的都市」のために,会議の参加者たちによって描かれた世界34都市の「分析地図」をまとめた書籍『Atlas of the Functional City』が昨年オランダで刊行された。本書における都市と地図の関係を軸に,都市計画において地図やグラフィックが果たす役割を再考する。
編集|藤村龍至 構成・デザイン|刈谷悠三
☝《連載1》インフォグラフィックスの潮流 第5回
[図 解・統計]理解のデザイン
20世紀の冒険[下]─ 可視化と物語化への道程
5回にわたった連載も今回で最終回。「20世紀の冒険」の後半は,アイソタイプを考案した,オッ トー・ノイラートと同時代の人物,バックミンスター・フラーからはじまる。ヘンリー・ルース,ハーバイト・バイヤー,ウォルター・ペプケ,ピーター・サリ ヴァン,エドワード・タフティなどインフォグラフィックスの主要人物とともに現在までの流れを俯瞰する。
文・デザイン|永原康史
☝《連載2》イエローページ 第5回
サン ティ・ロウラチャウィ(バンコク)
第5回は中国文化とインド文化の出会うタイの都市,バンコクのデザイナー,サンティ・ロウラチャウィ。ロックに目覚めたり,絵を描くことを思い出し て大学に戻り,グラフィックデザインに出会ったり,仕事で体を壊した後,また学ぶことを再開したりなど紆余曲折の個人史のほか,多民族により文化のミック スされたタイのタイポグラフィー事情も。
文・構成|後藤哲也
共同編集|ジェイヴィン・モ
デザイン|スルキ&ミン
☝《連載3》ばるぼら×野中モモ
日本のZINEについて知ってることすべて 第3回
みんなが熱心に音楽を聴いていた90年代,輸入レコード屋に委託されていた自主出版物の周辺から,90年代のZINEを探る。また,ヤング・ミュー ジック・ラヴァーズ,インディーズマガジン,京都系,カフェ・カルチャー,インディーポップ&モア,ライオットガールのキーワードからZINEを網羅す る。北沢夏音,甲斐みのりのインタビューを収録。
デザイン|森敬太(セキネシンイチ制作室)
写真|鈴木真貴
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エルメスの’発想の実験室’
「p etit h」における服部一成の空間デザイン
インタビュー|服部一成
デザイン|服部一成
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『アイデア』370号内におきまして以下の誤りがございました。関係者ならびに読者の皆様にご迷惑をおかけしましたことを,深くお詫び申しあげます。(最終更新:2015-7-31)
p. 172
『P-P-PAPER』10の書誌データを誤って表記してしまいました。
誤:『P-P-PAPER』07,P-P-PAPER,1995-10-15,A5
正:『P-P-PAPER』10,P-P-PAPER編集部,1996-4-16,A5
p. 189
『Border』vol.01の書評が途中で切れてしまいました。
文末の文章は以下になります。
「〜ZINEらしさがある。斜に構える90年代と比較して素直な姿勢は現代的。」