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エミール・ルーダー
タイポグラフィ
エミール・ルーダー
フィロソフィ
構想、コンセプト、デザイン:ヘルムート・シュミット
50年代,60年代にかけてスイス,バーゼルを舞台にかけて活動し,その動的かつ優美なタイポグラフィと熱心な教育活動でデザイン史に大きな足跡を残すデザイナー,エミール・ルーダー。「アイデア」第333号は、このモダン・タイポグラフィの巨匠の活動を,世界にはじめてのスケールで特集します。ルーダーの代表作や初公開作品に加え,デザイン,タイポグラフィに関する評論の数々を収録。ルーダーの思想と造形に多角的に迫ります。編集・デザインを手がけるのはルーダーに学び,その精神とともに日本で活動する世界的デザイナー,ヘルムート・シュミット。時を越え、静かに熱く放たれた入魂の一冊。
目次
はじめに
エミールルーダー 内側からのタイポグラフィ
エミールルーダー略歴
出版物リスト
エミール・ルーダーとセリフ・タイポグラフィ
バーゼル工芸専門学校(AGS)におけるタイポグラフィ教育の目標
AGSの組版専科のタイポグラフィ
要素的な装飾を組む
社用印刷物のデザインの統一
印刷工のための色彩ガイド
様式概論
エミール・ルーダーとサンセリフ・タイポグラフィ
今日の精神、社会、科学、技術における…
一服の茶、タイポグラフィ、歴史主義、シンメトリーとアシンメトリーについて
バウハウス・タイポグラフィについて
タイポ- コンポジション、ある試み
現代様式概論
現代のタイポグラフィのために
選挙広告– 良くデザインされた
エミール・ルーダーとユニバース・タイポグラフィ
ユニバース55、12 pt 試作版
ユニバースと現代のタイポグラフィ
植字工、タイポグラファ、タイポグラフィック・デザイナー?
『タイポグラフィ』
写植– 新しい時代の幕開け
エミール・ルーダーについて
寄稿:
レオ・マイェ(ティッチーノ)
アーミン・ホフマン(ルツェルン)
カール・ゲルストナー(バーゼル)
クルト・ハウエルト(バーゼル)
レンツ・クロッツ(バーゼル)
ウィム・クロウエル(アムステルダム)
アドリアン・フルティガー(パリ)
ハンス・ルドルフ・ボスハルト(チューリッヒ)
アンドレ・ギュルトラー(バーゼル)
ホアン・アラウスィ(バルセロナ)
オケ・ニルソン(ウプサラ)
フリドリン・ミュラー(シュタイン・アム・ライン)
ハリー・ボラー(シカゴ)
マキシム・ツコフ(ニューヨーク)
山本太郎(東京)
フィヨドール・ゲイコ(デュッセルドルフ)
ヘルムート・シュミット(大阪)
スザンネ・ルーダー-シュヴァルツ(バーゼル)
プロフィール
エミール・ルーダー(1914-1970)
1929年から33年まで植字工としての訓練を積んだ後,1938年よりパリに留学。1941年から42年までチューリッヒ工芸学校でアルフレッド・ウィ リマン,ウォルター・ケーヒのもと,レタリングとブックデザインを学ぶ。ルーダーはリズムと緊張に満ちた斬新なタイポグラフィで同時代に大きな衝撃を与え た。1942年よりバーゼル工芸専門学校で教鞭を執り始める。アーミン・ホフマン,クルト・ハウエルト,ロベルト,ビュヒラーらとともに同校で行った独創 的な教育活動のもと多くの教え子を輩出したほか,スイスの印刷専門誌「TM」への寄稿を通じ同時代のタイポグラフファ,デザイナーに強い影響を及ぼした。 ハンス-ルドルフ・ルッツ,ウォルフガング・ワインガルト,ヘルムート・シュミットはじめ多数のデザイナーがルーダーの薫陶を受け,後に「バーゼル派」と 呼ばれることになるタイポグラフィの流れを形成した。ルーダーが1967年に著したデザインの教科書『タイポグラフィ』は現代の古典書として,いまなお多 くの読者に読み継がれている。
ヘルムート・シュミット
1942年オーストリア生まれ。ドイツにて植字工の訓練を受けた後,スイスのバーゼル工芸専門学校でエミール・ルーダーの下,タイポグラフィを学ぶ。欧米 各地で活動した後,大阪のNIAに勤務。1981年独立,以降デザインの制約と自由という二元性に直面しながら制作活動に携わる。弘益大学(ソウル),神戸芸術工科大学で教鞭を執るなど教育活動にも従事。また,長年にわたる『TM』『baseline』『アイデア』等のデザイン誌への寄稿,自主プロジェクトなどを通じて,世界中のデザイナー,学生に大きな影響を与えている。著書『タイポグラフィ・トゥデイ』は,「現代の古典」と評される。日本での主な仕事に,大塚製薬「ポカリスエット」,資生堂「ELIXIR」,IPSAのロゴデザインなど。AGI会員。