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エミール・ルーダー:本質的なもの
時代を超越したタイポグラフィの巨匠による1950年代の4講演
エミール・ルーダー 著
A4変型,上製,80ページ,モノクロ
定価2,000円(本体)
英訳:ロイ・コール
和訳:雨宮郁江,室賀清徳
デザイン:ヘルムート・シュミット,ニコール・シュミット
スイス・タイポグラフィの巨匠エミール・ルーダー(1914-1970)が雑誌に発表してきたデザイン論「本質的なもの」シリーズの翻訳。「平面」「線」「言葉」「リズム」の各テーマからタイポグラフィと造形の関係を考察する。不朽の論文シリーズ,待望の邦訳。
著者について
1914年生まれ。タイポグラファ,教師。戦後のスイスを舞台にリズムと緊張に満ちた斬新なタイポグラフィで国際的な影響力を発揮した。バーゼル工芸専門学校で行った独創的な教育活動のもと多くの教え子を輩出,後に「バーゼル派」と呼ばれることになるタイポグラフィの流れを形成した。またスイスの印刷専門誌「TM」への寄稿を通じ同時代のタイポグラフファ,デザイナーに強い影響を及ぼした。ルーダーが1967年に著したデザインの教科書『タイポグラフィ』は現代の古典書として,いまなお多くの読者に読み継がれている。
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他の領域を注意深く観察することで,タイポグラフィの諸問題をより深く理解することができる。つまり,特殊な領域はより広い世界のなかで眺められてはじめて,正しく理解,判断されるのだ。より広い世界の出来事が,日々の仕事に見過ごすことのできないさまざまな影響を与えていることを明らかにしていきたい。
エミール・ルーダー
本質的なもの
ルーダーはスイスの「ティポグラフィシェ・モナーツブレッテル」(TM)誌にシリーズ「本質的なもの」を発表するまでに,すでに15年間バーゼル工芸専門学校でタイポグラフィを教えていた。
「本質的なもの」は創造的タイポグラフィへと向かう本質的な道を示すものだった。1957年から59年にかけて発表された4つの記事 ── 「平面」「線」「言葉」「リズム」はまた,1959年にドイツの「ドルックシュピーゲル」誌に,そして1972年にスウェーデンの「グラフィスク・レヴィ」誌にも掲載された。
「本質的なもの」の制作はルーダーの大著『タイポグラフィ』への出発点となった。「本質的なもの」の英語および日本語訳が今回初めて出版された。ルーダーの,芸術に鼓舞されたタイポグラフィは学生や専門家たちにとって大きな刺激となるだろう。
ヘルムート・シュミット
一連の論考のなかでルーダーは狭い専門領域にとらわれることなく,古今東西の文化,自然科学,政治社会との関連において,タイポグラフィの形成原理を自在に論じている。また,ルーダーの論考の基礎にはつねに人間の生,テクノロジー,両者の関係への眼差しがある。
社会と技術との関係においてタイポグラフィの形成原理を考える本論の態度は,あらゆる歴史的スタイルが表面的に消費される今だからこそ,あらためて参照される価値があるだろう。
室賀清徳,「アイデア」編集長