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特集:平野甲賀の文字と運動
描き文字を用いた装丁で知られる平野甲賀の40年以上にもおよぶ活動を特集する。描き文字をはじめ,晶文社やアングラ劇団,水牛楽団,そして自ら運営する劇場といった運動体とどのように関わり,かたちにしてきたのか? その仕事と思考を豊富な図版とともに紹介する。
*『タイポグラフィの基礎』(誠文堂新光社)刊行記念連続セミナー「タイポグラフィの世界」第4回「明るいブックデザイン 平野甲賀,自作を語る」(於シアターイワト、2010年2月8日)の様子をシアターイワトの配信チャンネル「sora-kita」で視聴できます。本誌とあわせてご覧ください。
秀英体──平成の大改刻
タイポグラフィ・出会いがしら系
文:藤本”ANI”健太郎
立花文穂の「デザイン」
編集・デザイン:立花文穂
デザイナーズ・リパブリックがトーキョーに帰ってきた!
イアン・アンダーソン特別ロングインタビュー
キール週間──あるデザインコンテストの歴史
平野甲賀の文字と運動
写真:平野太呂(P.2-3,74,80)
独特な描き文字を用いたブックデザインで知られる平野甲賀は60年代初頭からデザイナーとして活動し,これまでに6000冊以上もの装丁を手がけて いる。本特集では描き文字や晶文社のブックデザインを中心に,アングラ劇団のポスターやアジア・南米の抵抗歌を演奏した水牛楽団のチラシやミニコミ誌,自 ら運営する劇場・シアターイワトの活動を紹介。平野の仕事は常に人とのつながりや各集団との深い関わりによって行われ,かたちを成すことがわかるよう活動 ごとに構成。インタビューでは,幼少時代からデザイナーとなったいきさつ,描き文字やデザインに対する思想などが語られ,平野の仕事がどのような体験や思 考に基づき展開されているかを豊富な図版とともに伝える。
津野海太郎「ダイナミック・スペース・デザインの人」
高橋悠治「水牛地下茎」
鳥海修「平野さんの描き文字」
平野甲賀インタビュー
秀英体──平成の大改刻
大日本印刷の前身である秀英舎のオリジナル和文書体「秀英体」は,金属活字から写植,デジタルフォントへと改刻を続けながら受け継がれいまなお前線 で利用されている。2005年11月から「平成の大改刻」と銘打った秀英体ファミリーの大規模なリニューアルが行われ,従来の秀英明朝の見直しのほか,リ デザインや新書体が加わるなど,その環境は活況を呈している。本記事では秀英体の軌跡から開発者の談話,書体見本などを収録。秀英体という書体がもつ長い 歴史と変遷を辿り,人々を魅了し続ける理由を探る。
タイポグラフィ・出会いがしら系
文:藤本”ANI”健太郎
飲食店の看板や電柱に貼られた広告,スーパーで陳列されたパッケージ……。いつもは足早に通り過ぎる街角でふと飛び込んでくる出会いがしらの文字たち。偏愛的視点で撮りためたそれらの写真を解説つきで公開する。
立花文穂の「デザイン」
編集・デザイン:立花文穂
3月にギンザ・グラフィック・ギャラリーで個展を行い,大阪の国立国際美術館ではグループ展に参加する立花文穂。文字・紙・本・印刷をテーマや素材にしたアートワークを小誌用に編集・印刷して収録。
シュトゥッコのお引越しとお葬式
文:戸塚泰雄 写真:山本真人
グラフィックデザイナーの秋山伸率いるシュトゥッコが活動の拠点を東京から故郷の新潟へ移す。秋山はその移転の途中、大阪にてギャラリーに滞在しながら、実生活とデザインの実践をそのまま公開展示するという実験的な展覧会/イベントを行った。同展覧会のレポート。
ブック&インフォメーション
デザイナーズ・リパブリックがトーキョーに帰ってきた!
イアン・アンダーソン特別ロングインタビュー
企業の視覚言語や日本のポップカルチャーを引用・再構築したグラフィックをはじめ,90年代以降のヴィジュアルカルチャーに多大な影響を与えてきたイギリスのデザイナー集団「ザ・デザイナーズ・リパブリック(TDR)」。2009年の解散の悲報は世界中に衝撃を与えたTDRは、ついに再始動。2011年2月、東京のギンザ・グラフィック・ギャラリーにて開かれた展覧会を機に、創設者であるイアン・アンダーソンにTDRの活動秘話を聞いた。
キール週間──あるデザインコンテストの歴史
ドイツ北部の都市キールで行われる世界最大のセーリング・スポーツ・イベント「キール週間」(公式HP,ドイツ観光局の解説)。ポスターをはじめとする関連アイテムのデザインは,招待デザイナーによる少人数制コンペで選出されてきた。1940年代から近年にいたる受賞結果を振りかえるとともに、デザイン・コンペティションの性質やその運営方法の変遷を分析する。