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構成・編集:Åbäke,アイデア編集部
デザイン:Åbäke
日本語組版:長田年伸
翻訳:松山直希,熱海綾乃
協力:伊丹プロダクション,伊丹十三記念館,山口信博,中村好文
伊丹十三は映画監督としてのみならず,俳優,エッセイ,デザイン,料理など多方面にわたる才能と活動で知られている。本特集は,そんな伊丹の活動に関心を抱いたイギリスのデザイン集団アバケ(Åbäke)の提案を発端としたものだ。
アバケはアーティストとの協働や,ワークショップ,レーベル運営など,受注仕事ではない自主的なプロジェクトを展開し,その方法は世界中のデザイナーに影響を与えている。彼らの活動はそれがデザインかアートかという議論を越えて,グラフィックデザインという方法をさまざまな領域に応用,転用,流用することにおいて一貫している。ひとりの人が一つの専門や職能のもとに生きていくのが常識とは言えなくなった現在,そうした状況への批評的実践を展開するアバケにとって,生前の伊丹十三はまさに彼らの活動の先を行く人であった。
そこで,本特集ではある領域における手法・知識・経験を他の領域に転換する伊丹の「翻訳」的な手法をおうべく,アバケとともに伊丹映画のポスターや関連制作物をすべてデザインしてきた佐村憲一に伊丹十三との協働について聞き,二人の交渉のなかに伊丹のデザイン的思考を捉えることにした。また「翻訳」のいち実践として,世界各国のデザイナーに伊丹映画のポスターを制作してもらった。本特集によって伊丹十三ははたしてどう理解,翻訳されるのだろうか。多言語的な世界において,情報の翻訳し,コミュニケーションの回路として働くデザインのあり方について考えていく。
Åbäke
Åbäke(アバケ)はロンドンを拠点に活動するグラフィックデザイン集団。パトリック・レイシー,ベンジャミン・レイキン,カイサ・ストール,マキ・スズキのメンバー4人は,イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・ア ートを卒業した2000年から活動を共にする。ポスターやCDジャケットのデザインからインスタレーション,イベント主催,音楽レーベルでもあるKitsuné ほか,多岐に渡る活動を行う。
佐村憲一
1948年山口県生まれ。グラフィックデザイナー。田中一光デザイン室を経て,ナンバーワン・デザイン・オフ ィス設立。伊丹十三監督全作品のグラフィックデザイン担当。NAOC長野オリンピック公式写真集アートディレクター,佐賀インターナショナルバルーンフェスタ・アートディレクター。武蔵野美術大学・空間演出デザイン科元非常勤講師。東京アートディレクターズクラブ賞,毎日広告デザイン賞,造本装幀コンクール文部大臣賞,全国映画ポスター賞最優秀賞,日本グラフィック展銀賞,日本印刷産業連合会会長賞,日本BtoB広告賞銀賞他受賞。個展「ステーショナリー展」。共著に『現代版絵入り 般若心経』(ゴマブックス, 1982)『一流ブランド品の科学』(はまの出版,1997)。
インタビュー:佐村憲一 伊丹十三をめぐる佐村憲一との対話
写真:橋詰宗
ポスター作品寄稿(左側:佐村憲一デザインのオリジナル版/右側:本企画のためにデザインされたポスター)
サミュエル・ナイホム/ルネ,マテオ,ジャン = クロード・チアナリ/ファリダ・エル・ガザール/バルディ・ハリティ/ フレイザー・マガリッジ/アレサンドラ・ジェニュアルド/ Pınar & Viola / カール・ナウロット & ナ・キム/ローラ・パッパ/ Yokoland /ラディム・ペスコ
1933年京都市生まれ。映画監督,俳優,エッセイスト,商業デザイナー,イラストレーター,CMクリエイター,ドキュメンタリー映像作家。本名,池内義弘。映画監督の伊丹万作は父。女優の宮本信子は妻。長男は池内万作(俳優)。次男は池内万平。
父の死を機に愛媛県松山市に転居。高校卒業後上京し,新東宝編集部を経て商業デザイナーとして活動。ヨーロッパを旅行したあと,舞台芸術学院に学び26歳で大映に入社,「伊丹一三」の芸名で俳優になる。70年代以降はドキュメンタリー番組やTVコマーシャルにも数多く携わるほか,雑誌『モノンクル』(フランス語で「僕のおじさん」の意)を創刊,編集長を務めた。51歳の時に『お葬式』で映画監督としてデビュー。以来10作品を監督し,国内外で高い評価を得る。エッセイストとしても知られ『ヨーロッパ退屈日記』『女たちよ!』『問いつめられたパパとママの本』『日本世間噺大系』など。翻訳やイラスト,料理にも才能を発揮した。
(画像提供:伊丹十三記念館)
デザイン:Spin
文:エイドリアン・ショーネシー
訳:大木麻利子
日本語組版:白井敬尚形成事務所
1968年,メキシコ・オリンピックのグラフィックデザインを担当したデザイナー,ランス・ワイマン。彼の作品にはほぼすべての時期において複数の様式の総合とグラフィック要素の融合という特徴がみられた。そうした構成要素の予期せぬ融合がなによりもはっきりと現れ出たのが本記事で紹介するメキシコ・オリンピックのための仕事である。イギリスのUnit Editionsより刊行された『Lance Wyman: The Monograph』の収録内容をもとに,著者のエイドリアン・ショーネシーが解説する。
企画・構成:アイデア編集部,千原航
デザイン:千原航
編集協力:小林野渉
紙を媒体とした広告デザインが勢いを失い,従来の広告的な生産体制そのものが疑問視されるいま,その手法は路上(ストリート)において拡張し,あらたな局面をむかえている。昨年夏の安保法制反対の抗議デモで知られる学生団体SEALDsのデザイン班へのインタビューほか,2000年代以降国内のデモや政治・社会運動にかかわり,そこにおけるデザインの役割を思考してきたデザイナーたちに話をきいた。
インタビュー:SEALDs デモとグラフィックデザイン最前線
デモという政治文化をデザインする― 開かれる参加民主主義の現在
文:五野井郁夫
座談会:ポスト・ポリティカル・デザイン
石黒景太 × 千原航 × 小辻雅史 × 宮越里子
第7回 2000年代のジン パート1―プリント・イズ・ノット・デッド
デザイン:杉山峻輔
90年代には「新しい遊び場」だったインターネットは,大多数の人々の生活に欠かせないインフラとなり,急速に商業化が進んでゆく。「ソーシャル」と「パブリック」の意味が問い直され,個と公の力学は刻一刻と変化する。技術の革新は個人に大きな力をもたらした一方で,情報の飽和と複雑化するルールは人々を翻弄し続けた。そんな中,ごくシンプルな,個人と個人をつなげるメディアの原点として,ZINEは(再)発見される。
インタビュー:成田圭祐(IRREGULAR RHYTHM ASYLUM),堀部篤史(誠光社)
デザイン・文:立花文穂
立花文穂初めての作品集『Leaves』刊行に合わせて,アイデア誌に綴じ込めた立花による特別企画。一葉一葉の紙が立ち上がり,コトを起こす様子が伝わってくる。作品集刊行後の心境を綴った言葉も収録。
構成:長田年伸
デザイン:加藤賢策(LABORATORIES)
3回にわたって開催されたクリティカル・デザイン・スクールでは,加島卓,永井幸輔,吉川浩満,石岡良治ら,社会学,法律,哲学,表象文化論の各領域の最前線で活躍する講師を招き,それぞれの専門からグラフィックデザインという領域に光をあて,再検討・再構築する視点を探ることに挑戦した。浮かび上がったのは,ネットワーク化とグローバ ル化のなかで,あらゆる事象の全体像をつかむことがいっそう困難になりつつある時代に,グラフィックデザインを批評的に語るための可能性である。これからのグラフィックデザインを我々自身が考え,語り,定義することへの試み。
第1回 東京五輪2020エンブレム騒動以後のグラフィックデザイン
ゲスト:加島卓(社会学),永井幸輔(弁護士/Arts and Law)
第2回 デザインについて語るとき我々が 語ること
ゲスト:吉川浩満(文筆家)
第3回 視覚デザイン「超」講義
ゲスト:石岡良治(表象文化論)
加島卓(かしま・たかし)
東海大学文学部准教授。専門は社 会学,デザイン史。著書に『〈広告制作者〉の歴史社会学』(せりか書房,日本社会学会奨励賞)。『オリンピックとエンブレム(仮)』(河出ブックス,近刊)。
永井幸輔(ながい・こうすけ)
弁護士/Arts and Law/Creative Commons Japan。美術・デザイン・インターネットなどのクリエイティブに関わるアドバイスを提供。編著に『ファッションは更新できるのか?会議』(フィルムアート社)等。
吉川浩満 (よしかわ・ひろみつ)
文筆家。慶應義塾大学総合政策学部卒業。国書刊行会,ヤフーを経て,現職。著書に『理不尽な進化』『心脳問題』『問題がモンダイなのだ』ほか。関心は哲学/科学/芸術,犬猫鳥,デジタルガジェット,卓球など。
石岡良治(いしおか・よしはる)
1972年生。批評家・表象文化論。青山学院大学ほかで非常勤講師。著書に『視覚文化「超」講義』(フィルムアート社,2014年)『「超」批評 視覚文化×マンガ』(青土社,2015年)。
混乱も不可能も間違いも―クリエイティビティにとって大事なこと
文:柴田直美
デザイン:橋詰宗
2016年3月,田町にあるSHIBAURA HOUSE(シバウラハウス)で,オランダのクリエイティブエージェーンシーKesselsKramer(ケッセルスクラマー)を主宰するエリック・ケッセルスのレクチャーとワークショップが行われた。20年前にKesselsKramerを立ち上げ,以来ユーモアに溢れた広告を打ち出し続けている彼は,近年アマチュア写真を媒体とした表現に興味を持ち,写真集の出版や,展覧会を企画することでも知られている。
1991年に結成されて以降、デザインシーンの最前線を走り続けてきたクリエイター集団Tomatoの25周年を記念する展覧会が、渋谷PARCOにおいて開催された。90年代のグラフィックシーンはこの四半世紀でいかなる変容を遂げたのか。
新刊 『ブループリント・フォー・カウンターエデュケーション』増補復刻版
新刊 『祖父江慎+コズフィッシュ』
寄稿:川名潤「かくしてソビィは著者となる」
新書体
2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会エンブレム決定
インフォメーション
ブック
the idea of music [019]
P.1 (目次)中央
誤)Kho Chihara 正)Koh Chihara
P.5 右側クレジット2~3行目 『お葬式』制作者クレジット
誤)I:伊丹万平 I:Manpei Itami
正)I:池内万平 I:Manpei Ikeuchi
P.6 英語テキスト6行目
誤)at 50 正)at 51
P.7 日本語テキスト2段目9〜10、13行目
誤)たんぽぽ 正)タンポポ
P.21 『マルサの女2』ポスター(コソボ版)
誤)Tsutomu Yamazaki 正)Rentaro Mikuni
P.42 白背景の日本語テキスト上段4行目
誤)五十歳で初監督作品を発表
正)五十一歳で初監督作品を発表
P.44 「掲載ポスターのクレジット」1行目
誤)I:伊丹万平 正)I:池内万平
P.72 1段24行目
誤)初期のSEAPL 正)初期のSASPL